柾樹side




「ったく面倒くせーなぁ…」


悠士と一旦部屋に行って動きやすい格好へと着替える。


マジだりぃ…


何で夏休みにこんな所に来てんだよ…俺。


「…彩音ちゃん本当に知らなかったのか?」


はぁ、と溜め息を吐けば、隣で着替える悠士が信じられないといった顔で言う。


「…知らねーんじゃなくて、聞いてなかったんだろ。彩音は」


ったくどんくさいんだから。



「平山ちゃんらしいよ。本当」


…………。


なんでコイツがいるんだか。


後ろを振り返らなくてもわかる。軽ーい喋り方で彩音をそう呼ぶのは1人だけ。


コイツだけ。