病院の予約当日、私は夫と一緒に病院は向かった。

小さなクリニックだが待合室は清潔感が溢れていて、受付の女性たちもとても感じがよかった。

受付の脇には数人の医師が顔写真と共に紹介されている。

院長の他に産婦人科の勤務医が二人、麻酔医が二人、小児科医が一人いるらしい。

今日の担当は院長先生では無く、二人いる勤務医のうちの一人のようだ。

当然、待合室にはお腹の大きな妊婦さんが数人いて、私のようにパートナーと並んで座っている人もいた。

受付を済ませ問診票の記入を終えると看護師さんに呼ばれ、診察の前に身長・体重を計りますのでこちらへどうぞ、と奥の部屋に案内された。

スリッパを脱ぎ身長と体重が同時に測れる計測器に乗ると、看護師さんが元気よく「49キロね!」と叫んだ。

えっ、49キロ?

嘘でしょ。

確かに年末年始の「食っちゃ寝」生活と先月末の旅行で最近体が重いなぁとは思っていたけれど、49キロって・・。

身長155センチの私が49キロはまずいっしょ。

ほぼ50キロじゃん。

結構なデブじゃん。

ああ、恥ずかしい。

計測を終え採血され、再び待合室で待つよう促された私は長椅子に腰掛けている夫の隣に腰を下ろした。

血を抜かれちゃった、と腕を見せた私に夫はこそっと囁いた。

「49キロなの?」

「えっ?」

どうやら看護師の声は待合室に丸聞こえだったらしい。

扉がきちんと閉まってなかったのだ。

いつも夫に「45キロぐらい」と誤魔化していた体重がひょんなことでバレてしまった。

私は慌ててこの洋服重いんだよ、と訳のわからない言い訳をしたが、夫はそんなことどうでもいいといった感じで私より緊張した面持ちだった。