「藍花、今度の日曜日空いてる?」

楓は大和くんと付き合ってから、一段とよく笑うようになった。

今だってすごく幸せそうに笑ってる。

「うん。空いてるわよ。でも、大和くんとデートじゃないの?」

今度の日曜は珍しくサッカー部は休みらしくて、大和くんと遠出のデートが出来るって喜んでたじゃない。

「そ、それがね…」

何かを言い出しにくそうにしている。

「どうしたの?大和くん「一緒に遊園地行かない?」

楓は一気に早口で言った。

「え、遊園地?楓と大和くんと私で?」

自分で言っていて変だとは思うけど、3人で遊園地、じゃないわよね?

「…えっと、あと一人来るの。」

そう言われて、ピンと来た。

登校日の時、大和くんの一言で私が成田を好きだってバレてしまったんだ。

だからきっと楓は私と成田をくっつけようとしてるんだって、直感した。

「ふ、2人で行ってきなよ。」

なんかそんなの気まずいもの…。

「ダメ!もうチケット買っちゃったもん!」

楓はギュッと私の腕を掴んで『逃がさない』とばかりに力強い瞳で見てくる。

「わ、分かった。分かったから…。」

楓って普段は穏やかなのに、時々強情になる。