私がオレンジジュースをぶっかけて、派手にフッたことを思い出しご機嫌斜めトーマ。



キスはお預けかと思ったけど。


トーマは栗原さんの持ってきたスーツに着替える。


トーマは本当にカッコいい。
ブランド物じゃない安物スーツだって、カッコよく着こなせそう。


色ボケとはそんなんじゃない。


カフスを止めて、私を手招きで呼ぶ。



「トーマ少し…ネクタイ曲がってるよ」


私は腕の中に飛び込みながら、トーマの結んだばかりのネクタイに触れる。



「お前が直すと…余計に曲がるんだけど」


「まだ、怒ってる?」


「少し…」