柾樹side



俺は彩音達と別れてバイトに向かった。


「おはようございます」


そう言って店の事務所に入る。ここはマンションの近くにあるバーレストラン。


大抵平日は暇だが、金・土曜日となるとコンパ客などで人が増えて忙しいくなる。


マンションから近いのと、時給が良いのが気に入っている。



「柾樹はよっ!」


事務所に入って来た俺に気が付いたのは2つ上の藤澤修平(フジサワシュウヘイ)さん。



「今日店どうっすか?」


「最悪…今日は大学生が多いらしいよ」



俺の問に着替えながらも答えてくれた。
どうやら今日は平日だが、春休み中の大学生が多いみたいだ。


大学生休み長すぎんだよ!と心の中で悪態をつきながら着替えてホールに入った。


うわ…マジで多い…
大学生の客って酒浴びるように飲むから絡まれんだよなぁ…


はぁとため息をついた後気を引き締めるように制服の裾を捲る。






「ね〜君ここ何時まで?」


いつも通りに接客をしていると、不意に聞こえてきた声に振り返れば、紅潮した頬で明らかに酔っぱらった女いた。


なんだコイツは…と一瞥したが、しかし残念。
悲しいかな。所詮雇われの身でそんな事は言えずに


「11時までです」


ニコリ、営業スマイルで返した。


「11時かぁ〜待ってても良い?」


そんな俺の思考はまったく読み取れない酔っ払いは、他の友達とキャッキャ言いながら盛り上がっていた。


いつまでたっても盛り上がり冷めぬ酔っ払い共に、無言で冷ややかな視線を捧げて厨房に戻った。


…うぜぇよ



「なにあれ〜」


背後からは気分を害した酔っ払いの声が聞こえていた。