ケータイ小説 野いちご

∮ファースト・ラブ∮

∮***それぞれの交差する想い



∮***

Side:
    .+*麻生 久遠*+.
    .+*Kuon asou*+.










旧校舎にある、今となっては使われていない焼却炉前。


彼女、藤原 紀美子(ふじわら きみこ)と手鞠(てまり)ちゃんは、いた。


紀美子はぼくから離れろと話している。


そうだ。

手鞠ちゃんにはぼくのような奴には似合わない。


彼女は、もっと優しくて、穏やかで、力強い、そんな人といるのが似合うだろう。

けっして、過去に縛られた、こんな意気地なしのぼくではない……。



尚吾(しょうご)に気づかれる前に、一刻も早く、ぼくから去ってくれる方が彼女のためになる。


ぼくが手鞠ちゃんに好意を抱きはじめていることを尚吾に知られれば、間違いなく彼女の身に危険が及ぶ。


これは彼女からぼくと離れてくれる、いい機会かもしれない。


純粋に、そう、思った。




だが、そう考えただけで胸は痛む。

心臓が釘でも刺されたような痛みを感じる。



隣にいる親友の睦(あつし)は今、根性なしのぼくを殴ろうとしている。


その気持ちはよくわかる。


だが、ぼくは……かつての彼女を……守れなかったんだ。


香織(かおり)を吹っ切ろうと思って告白してくれた彼女と付き合うことにした。

彼女はとても優しい女性だった。


彼女なら、香織を忘れることができると思ったんだ。


だが――――。


少し目を離した時だった。

尚吾は彼女をボロボロにしたんだ。

体と、心を…………。



その後、彼女は転校を決断し、ぼくの元から去った。


心に深い傷を持ったまま…………。





< 103/ 278 >