ピンポーン

インターホンの音が家の中に鳴り響き、わたしはすぐに玄関へ向かった。

「いらっしゃい、サアヤ」

「ノウコさん、久し振り」

前回の事件と出会った時と変わらず、サアヤは人なつっこい笑みを浮かべた。

「コレ、お土産。今バイトしているケーキ屋のクッキー」

四角い紙箱入りのクッキーは、開けてなくても甘くて良い匂いがする。

「ありがとう。お茶は何を飲む?」

「ハーブティー。少しスっとしたのが良いなぁ」

「はいはい。それじゃあ奥へどうぞ」

「うん!」

彼女は女子高校生らしく、明るく活発だ。

―その身に、深く重いモノを背負っているとは思えないぐらいに。

ティーセットを持って部屋に入ると、サアヤはイスに座りながら足をブラブラさせ、視線をキョロキョロさせていた。

「普通のリビングだよねぇ。いつもはここで相談に乗るの?」

「そうよ。ウチは宗教ではないからね。普通の家の方が、相談しやすいって言うのもあるし」

「あ~。そうかも。テレビで見るような場所じゃあねぇ」