「ええ!?けんか?」


家に帰った未雨は、母親の礼子に今日の出来事を話した。


「別に、喧嘩ってほどじゃないよ。あいつ、性格悪いんだもん」


と、未雨が頬を膨らませる。


「あいつって―――天下の園田隼に向かって、そんなこと言っていいの」


と言いながらも、あまり心配していない様子の礼子。


普段、外で仕事をしている礼子。


芸能界という世界で大人と一緒に仕事をしている未雨は、立場的には自分ともう変わらない。


そう思って、あまり口出しをしないようにしていた。





と言えば聞こえはいいが、特に気にもしていないというのが正直なところだろう。


あまり深く考えず、なるようになると楽天的に考えているのが礼子の長所でもあり、短所でもあった。


そして良くも悪くも、未雨は礼子に似ている。


隼と言い争ったからと言ってそれを深刻に受け止めているわけではなかった。


明日も撮影がある。


その撮影で、未雨は隼にどう対抗しようか、そんなことを考えていたのだ・・・・・。