一条カンパニーの社長令嬢・一条 美名。


たった今私は、目の前にいる男の子に、とんでもない事を言われました。


「…………ハッ?アンタ何言ってんの?」


聞き間違いかと思い聞き返すが、洋夢の目は真っ直ぐ私だけを見つめる。


弱い風が、洋夢の暗めの茶髪を逆立てていた。


「美名、今オレが言った事聞き間違いとか思ってんだろ」


壁についていた手を離し、私から離れる洋夢。


私は黙って1回だけ頷いた。


「だって………実際聞き間違いだよね?」


「――――……聞き間違いなんかじゃねぇよ。ならもう1回言うから」