【YUITO】

「会長」
会長とは、俺の事で。
落合 唯斗、この学校の生徒会長。
そんな俺には、裏表があって。
表は、王子様って言われるぐらいの優しい会長。
裏ってか、本当はドSだったりする。
親父が、理事長で生徒を増やすのが目的で、優しいイケメンになれって。
別に、問題はない。
でも、正直疲れる。
「会長!」
あ、やべ・・・無視してた。
「なんですか?」
そう言って、ニコッと笑う。
完璧だな、誰も気づかない。
「もう、これ・・・終わりました」
そう言って報告書を提出したのは、愛染 瑠那(アイゼン ルナ)だった。
愛染は、ライトブラウンの髪がサラサラで、まったく痛んでなくて。
瞳は、薄い黒、いやグレーで。
整ったキレイな、唇はピンク。
そして、汚れを知らない真っ白な肌。
ぱっと見校則違反に見える、髪と瞳は生まれつき。
両親が、どちらもハーフで。
クォーターって言うか、なんていうか。
外見からは、軽い女に見える。
でも、実際は違う。
すごく大人しくて・・・イイ子。
だけど、愛染には裏があると思う、俺みたいに。
気になるから、無理矢理生徒会にいれた。
ここ一ヶ月で、気づいた事。
いつのまにか俺はコイツ、愛染に惹かれてた。
本当の君が知りたいから、行動に出るつもり。
俺の手の中には、昨日作ったチョコ。
もちろんただのチョコじゃない。
まぁ、媚薬って言うか、精力増強剤いれたやつ。
食べれば、理性は崩壊するだろう。
自分を作るなんて無理だろうな。
本当の君に会えることを、期待して。
さぁ、どうやってチョコをあげようか?
まずは、邪魔な他の役員に帰ってもらわないと。
「今日は、これで解散です。あ、副会長の愛染さんだけ残ってまらえますか?」
愛染な小さな声で“はい”と返事をした。