これは雪の記憶の中にある懐かしく幸せな物語――…‥




雪「おい、陸抖」


制服に身を包み、ふてぶてしく声を掛ける雪。



雪「返事しろや、ボケ」


身に付けている物以外、特に性格は今とあまり変わっていない



雪「いい加減にしろ、馬鹿」




雪が先程から声をかけている人物は机につっぷして寝ている



雪「…‥」


――ベシッ


陸「………ん゛。痛い…」



その人物こそが雪の恋仲、陸抖である



無表情に青筋が浮かんだ雪に殴られた陸抖は漸く俯せていた顔を雪の方向に向けた



陸「…おー、雪か…」


雪「早く起きろ。授業とっくに終わったぞ」



半目で呟く陸抖に雪は呆れ顔で喋る