「あー…もう゛っ!!」



こんな時、赤信号ばかりでイライラしてしまう。

Bluetoothに繋げ、課長に電話をしようにもドライブモードになってて繋がらない。

…やってらんないっ!

完全に、出鼻を挫かれた気分。

ーーピリリリ…

でも何とか、折り返し電話が来た。



『あ、俺だ』



「“俺だ”じゃないですよ!!何してたんですかっ!!」



『何って、コンビニ』



「どこの」



『駅前?』



「今すぐ私のマンションに来て下さい!わかりました?今すぐですからねっ!!」



ーーブチッ

もう課長のマンションまで、行く元気がない。

自宅に戻り、駐車場で待機してると、見慣れたBMWが登場。

車から降りて来た課長に駆け寄り、自分でも不思議な位、抱き着いた。



「どうしたんだよ」



「わかりません。わからないけど、本当にわからないんですけど、課長に会いたくて……」



好きだって、思う。

この場所を、自分のモノにしたいと思う。



「俺も。だから来たんだ」



やっぱり今日の彼は優しい。

これから先、こんな日は来ないかもと思うほど。

悠呀がどんな気持ちで、“仲良く”と言ったかはわからない。

けど私は、恋人として、仲良くありたい。

それでも良いよね、悠呀……。