早いもので、5月になった。

まぁ、変わった事はあまりない。

インナーがタンクトップに変わって。

七星を独り立ちさせ、私と斗真はペアを入れ替えた事で私の基本的な相方は課長となり、衝突が増えた。



「姉貴。木ノ島高校で立て籠り発生」



「了解、急行するわよ」



「「「『はい――ッ!!』」」」



私は車のキーを七星に投げ、課長室のドアを開けた。



「高校で立て籠り。同行願いします」



「わかった」



課長と駐車場へと行き、斗真と3人で、七星が表に回して来た車に乗り込む。

無線から流れる情報を、手にボールペンでメモをする。



「四方を封鎖させろ。詳しくは難波に任せる」



「わかりました」



現場と無線で連絡を取り合う斗真を見ると、成長を実感する。

昔は私の後ろを追い掛けて来てたのに。



「磯村に病院との交渉させろ。山下は主任から離れるな」



「……何で私が七星を見とかないといけないんですか」



「その逆だと気付け」



「はっ?」



この人、何を言ってるんだろうか。

私が七星に見張られる?



「冗談じゃないですよ!!」



「――逆らったら、覚えとけよ」



「…………」



低い声で脅して来るなんて、最低……。

私は課長を数秒間だけ睨み、窓の外に目を向けた。