季節の移ろいは早く、斗志樹が木ノ島に来てから1年。

出会った春が、また訪れた。

平穏の日々は、意外に早いものだった。

実家のリフォームが速やかに行われ、昨日から2世帯同居が始まった。

玄関は一つしかなくとも、2階は私たちの住居となった。

4DKで、子供が出来ても問題なしの広さ。

1階にはちゃんと客室がある為、斗真たち家族が来ても問題なし。

ただ、問題があるとするならば……斗志樹が居ない。

実家は1階で、2階には寝に上がった位で寂しくないけど、1ヶ月も出張。

木ノ島の次に行く筈だった署の係の人に泣きつかれたらしく、結局は行くなんてあり得ない!



「拗ねててもしょうがないでしょ?居ないものは居ないのよ」



「良いよねー。祖母ちゃんは曾祖父ちゃんの力で遠距離を数年で終わらせて、お父さんとお母さんは離れた事ないんだもん」



「何だって?だいたい、1ヶ月で泣き言言うなんて情けない!食べてさっさと行きなさいよ!」



「……言われなくても。私は、主任ですから」




朝からごちゃごちゃ言い合う私と母親。

呆れてる父親の分の食器と2人分を片付け、鞄を手に家を出る。

斗志樹が車を乗って行ってる為、父親の車で出勤。