必死で歩いてるけど、さっきから変則的なこの人の説明のせいか…



一向に保健室にたどり着きませんけど…。



通り過ぎた後に『右』だ『左』だ言うなよっ!?






つーかさ、



あたしとこの変なイケメンを二人っきりにしないでくれよ!!?



初対面でいきなりのっかるわ…



き…っ、キスするわ……!!!



あたしの…っ、あたしのファーストキス……!!



大好きな人とそれはそれは甘~いキスを……、なんて夢見てたのに……!!



現実はロマンチックの欠片もないっ!!



「………。」



思い出して……ずぅんと落ち込んだ……。



なに?このありえない情況……。



入学早々呪われてんの?



結果的にだけど…入学式サボって寝てただけでこの仕打ちはあんまりだよ……神様……。



思わずうちひしがれて歩みも止まる……。



それに、彼も黙って足を止めた。



もう…ほんと嫌だ……。



じわり…瞳が潤みそうな







――――その時だった。









「あーーっ!!

…こんなとこにいやがったのかっ!?」



「……!!?」









そのでっかい叫び声に潤みかけた涙も一瞬で引っ込み、その場に縫い止められたみたいに…固まった。