スパァン!という、襖の勢いよく開く音が辺りに響いた。

思わず肩をびくつかせて、私は目の前の高杉さんの背中を見る。
そう、今の凄まじい襖の音は高杉さんが開いた襖の音なのだ。


「ったく、お前は!あの程度の階段にどれだけの時間をかけているんんだ!お陰ですっかり日が暮れちまったじゃねえか!」


「……む」


「なんだその顔は」


ずかずかと部屋に入りながら愚痴を漏らす高杉さん。

それは今に始まったことじゃなくて、私がひぃひぃ言いながらやっとこさ階段を登りきったとこれからはじまっていたのだ。


「お言葉ですが。あーんなに長ーい階段を、高杉さんとか桂さんみたいに超人級の速さで登れる人がいたらオリンピック選手なんて選ぶ必要ありませんから!」


そう、あの門を過ぎてすぐ。

目の前に広がるのは、長い長い階段だった。

バリバリ文系で体育の評価が万年2の私には、とても辛い。
けれども、そんな私を置いて高杉さんと桂さんは凡人ではあり得ないような速さで階段を登って行ってしまったのだ。

体力では凡人以下の私が凡人以上の速さで登る二人に追い付くはずがないじゃないの!
だと言うのに、やっとこさ登り終えて見ればこの有り様。