「……あれか……」


いくつかの仕事をこなした後、
トラックを停めたのは、とあるケーキ屋の近く。

建物は小さいながらも、雑誌に載っているのも見た事のある、結構な有名店だ。


味がいいらしく、ケーキの予約は多いらしい。
それだけなら、お店の人、頑張って!で終われる。俺が手を貸す事は何も無い。

だけど問題なのは、
予約分に加え、当日販売のケーキが大量だと言う事だ。

どうしても食べたい奴は、
もちろん事前予約しているだろう。

たまたま通りすがって、
買おうと思う人だっているだろう。

だけれど、さすがにあれは……。


「多過ぎね?」

店の前にテーブルを出して並べている。
その数は、店内に入れたなら天井まで届いてしまうだろう。それが数列。
さらに店の中にも在庫があるらしい。
どうやってあんなに焼いたのか、不思議なほどだ。

それを見て運転席のトナカイに同意を求めると、彼も苦笑いしている。