「っ、んー?」

突然の息苦しさで目が覚めた。

目を開けると、視界に入ったのはトナカイ。
そばに居る人物としては何の不思議も無い。

だけど、距離が変だ。近い、近すぎる。


どうやらエンジンは既に切ってあるらしく、静かすぎる車内には、
さっきのロッジのような音しかしない。

と言っても、あれに比べれば遥かに軽い。
運転席から身を乗り出したトナカイの服と、俺の服が擦れあって音を出しているだけだ。
仕事中の身として、やましい事は特にない。
……少々唇が触れてはいるけれど。


「ちょ、んっ、……やめい!」

さっきの、うっかり家族団らん中にドラマのベッドシーン見ちゃった!みたいな雰囲気にあてられた?

……いや、無い。

何故ならキスは本当に触れる程度。
息苦しさは、何故か鼻をつままれていた所為だ。