「ただいまー」


学校から帰って玄関の扉を開けると。
家族の靴に混ざって、見覚えのある男物のスニーカーが並んでいるのが目に入る。


「お帰り。
英ちゃん来てるわよ」


リビングから聞こえた母親の声に、彩はやっぱり、とつぶやく。


靴を隣に並べて脱いだとき、スニーカーが意外と小柄だったからピンと来ていた。


中学二年生の英知はまだ成長段階で、背は彩と5センチしか変わらない。


本人は近いうちに啓吾の身長を抜くつもりでいるけど、小柄な彩としてはあまり大きくならないで欲しかったりする。


だって、話をするのに、顔をずっと見上げてなきゃいけないのは結構キツイんだもん。