英知がベッドの枕元に両肘を置いて、横たわる彩の寝顔を見つめ始めてからもう10分が過ぎようとしていた。


彩の寝息は規則正しい。
だけどたまにもらす寝言で少し乱れるのが英知の心をくすぐる。


「あーや、7時半回ったぞ。
遅刻するぞー」


そうは言っても、内心は彩の寝顔をずっと見ていたいから、声には気が入らない。


起こす英知がそんな調子だから、彩はまだ夢に捕らわれたままで。
むにゃむにゃと、心地良さそうな笑みを浮かべてる。


そんな彩に英知は動悸を感じ、ときめくとはこういうことを言うんだろう、と一人ごちる。


英知はそっと指を伸ばして、彩の頬を軽く突いた。