パジャマを着て、陸に裸を見られたショックを引きずりながら廊下を歩いていたら、玄関のドアが開いて春姉が帰って来た。


「春姉、お帰りー」


「ただいま……」


 春姉のすぐ後ろから海さんも帰って来た。仲良く一緒にご帰還かぁ……

 と思ったものの、その割には春姉の顔色が優れなかった。疲れてるのかな?


「今夜のおかずはサンマだよ。脂が乗ってて美味しかったよ?」


 私がそう言うと、春姉は暗い顔をして「いらない」と言った。


「悪いけど食べて来ちゃったから、夏に言ってくれる?」


「え? あ、うん、わかった……」


 春姉は、暗い顔のまま階段を静かに上がって行ってしまった。


「海さんも、食べちゃいましたか? 晩御飯」


「あ……、そうだね。ごめん」


 心なしか海さんも、難しい顔をしてるように見えた。