「おい三島。あ、一条に変わったんだっけ?」


 会社の喫茶室で向かいに座り、そう話し始めたのは同期入社の片岡だった。片岡は入社当時から俺とは気が合い、互いにプライベートな事まで話す仲で、俺が結衣と結婚した経緯も大よそは知る数少ない人間の一人だ。

 ただし、俺が復讐のために結衣と結婚した事までは知らないはずだが。


「三島のまま変わってねえよ。向こうは俺を養子にしたがったけど、それはきっぱり断った」