「というわけさ。おまえは間違ってもお嬢様なんかと結婚するもんじゃないぞ?
 お嬢様って人種は、自分じゃ何にも出来ねえから、一から全部教えないといけないんだ。もうヘトヘトだよ」


 会社近くの定食屋で昼飯を食いながら、俺はこのところの苦労話を片岡に切々と訴えていた。


 休みの日はもちろんの事、普段も定時で会社を退社し、俺は結衣に家事のあれやこれやを、それこそ手取り足取り、みっちり教え込んでいた。