_心サイド



なんだか昨日から頭がぼやぼやしていた。理来に告白されて私もどきどきして、ああ、私も好きなんだって自覚したから「私も好き」って伝えた。

けど、関係は今までと全く変わらない。私と理来って、付き合ってるの?両想いってわかっただけだから付き合ってることとは違うのかな。


「...。」


...わからない。



「何険しい顔してるの?」

「おはよう尾花さん...って、また女装に戻ったの!?」

「うん。あれは昨日限定。昨日のほうが良かった?」

「え?ど、どっちでもいいと思うけど。」

「あそ。」

「うん。」

「で、何悩んでるの?」

ずい、と顔を近づけて尾花さんは私の額に指先を刺した。爪がささり地味に痛い。

「たいしたことじゃないよ。」

「私に言えないことなの!?」

無駄に声のトーンをあげて訴える尾花さん。「アイツ尾花さんを悲しませるような事してんじゃねーだろうな。」「女子でもゆるせねー。」男子からの鋭い言葉が突き刺さる。


私は思わずため息をついた。


「理来と、いろいろあって。」

「えーどうせ惚気だろー、俺聞きたくなーい。」

「尾花さんのキャラがわからないよ。私っていったり俺っていったり...統一しないの?」

「私のことは良いから。どうせ佐倉君と付き合うことになったとかだろ。」

さらりと私の質問を流して、尾花さんは後ろ向きで私の前の席に座った。

女の子の恰好なのに、足を開いて座るところはなんだか男らしい。

男子が、「パンツ見えるんじゃね?」「尾花って男?女?昨日の男子と同一人物って噂あるよな。」「よし、確かめに行こうぜ。」と言いながら騒いでいるのを横目で見ながら

「それがよくわからないの。」

と素直に告げた。