私には、幼馴染がいる。

保育園のころから一緒で、

家も隣で、

親同士も仲がいいというありきたりな繋がりのある男の子。

名前は佐倉 理来(さくら りく)、15歳。

彼にはコンプレックスがあるらしい。

現在、私はその相談にのっている真っ最中だ。

「で、どうすればいいと思う!?」

ばん、と机に手をついて身を乗り出し私の顔をじっと見る理来。

「べつにそのままでいいじゃない、可愛いし。」

「てめー、他人事だと思って。俺は真剣なんだよ!」

「せっかくおばさんが可愛く生んでくれたんだから感謝しなよ。」

「嬉しくねーよ!俺は男だ!どうせならかっこよく産まれたかった!」

「たった今世界中の女の子を敵にまわしたわね。」

私は理来がすごく羨ましい。

誰が見ても可愛い容姿の彼は一見女の子に見間違われても仕方ないと思う。

理来の身長は私と同じくらいで、肩より少し短い茶色の髪はさらさらだ。

(ずるい)

理来はきっと性別を間違えて生まれて来たんだ、と思った時だった。

ばしっ、

「痛ッ!」

「俺の事見て変な事考えただろ。」

「か、考えてるわけないじゃん!」

「へー。」

じとー、と冷ややかな視線を向けてくる。

そんな顔しても可愛いだけだと思ったが口には出さなかった。

また叩かれるのはごめんだ。


「せめて身長が高ければなー...。」

「いいじゃん、私と同じ160センチで。」

「うざ。」

お前に相談した俺がバカだった。と理来は深いため息をついた。

「まあまあ、私はそのままの理来がいいと思うよ。」

「...おう。」

腑に落ちない様子で、理来は返事をした。