抑の事の発端は一時間程前に遡る。


時刻は午後10時。


遊んでいた友達と駅の改札口で別れて、


後はそのままホームから
自宅最寄駅の電車に乗り込み


いつも通り帰宅するだけ――


だった、のに。



「「バイバイ」」



笑顔で手を振り合って、友達が帰路に着くのを確認した後

自分も帰路に着こうと身体を方向転換させた瞬間。



「え…!?」



いきなり誰かに思い切り腕を引っ張られた。



「ちょっと、何す…」