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閉ざされていた瞳を開ければ、当たり前に知らない場所。

普通に考えて偉い人……柊様の屋敷だろう。

広い畳の部屋に一人、私は居た。誰もいない。音も何も無い。

何だか落ち着かなくて辺りを見渡した。

私の目の前は襖、右手も襖、左手も襖、後ろは押入れ。私の家なんかよりも何倍も広いだろう。

後ろからまた前を向こうとした時、視界の左端に何かが映った。

その何かは分からない。だけど先ほどまで開いていなかったのに数センチ、襖が開いているのだ。

不思議に思い、恐る恐る開いた隙間の一直線上まで数歩ずれる。

と。


「っ!?」


見えたのは赤。


赤い、目。