―対決―





「ただいまぁ~」





先生が帰って来た。





今日は、先生にとってとても大事な日だったんだ。




戸村さんと宮崎さんが話をする日。



この日を迎えるまで本当に大変だったんだ。




ふたりともなかなか先生に心を開かないし、家に行っても会えなかったりしていた。





先生の努力がやっと報われた。






「おかえりなさい。ご飯食べる?」



「ああ。この匂いは、豚の生姜焼きだなぁ?」



「当たり!!すごいね!」



「腹減ってるから。それに直の生姜焼き、大好きだし」






先生は手を洗ってうがいをして、服を着替えた。




ご飯の準備をする私の後ろにゆっくりと近付く。





そして、私をぎゅっと後ろから包み込んだ。






大きな先生にこうして抱きしめられると、本当に幸せ・・・・・・







「ありがとな。直」



「先生、お疲れさま」



「ちゃんと話せたよ。まだまだ時間はかかると思うけど、大きな一歩だと思う」



「良かった!!」







私は先生に抱きしめられながら、フライパンの上の豚の生姜焼きをひっくり返す。





「直のおかげだから」





先生はそう言って、ポンポンと私のお尻を叩いて、キッチンから離れた。