―複雑な想い―  【先生目線】








「この車なんですぅ~」






甘えたような話し方が気に入らない。




最初に会った時から苦手なタイプだとは思っていたが・・・・・・






直を苦しめる隣人の田辺。




旧姓、吉田。






「あ~、これは俺にもどうしようもないっすね。修理頼んだ方が良いんじゃないですか」




「そうですか・・・・・・じゃあ、ナビの設定してもらえません?」




どこまでもずうずうしい人だ。



高校時代に俺が教えていたちしたら、絶対に記憶に残っているはず。




俺のことを好きだったとしたら、しつこく追いかけてくるタイプのように思える。





だから、俺を好きだったとも思えない。






一体、何なんだ・・・・・・






「さすがにそれは旦那さんにやってもらってください」




ため息交じりにそう言った。






どう切り出そうかと思っていると、向こうから俺の職業を聞いて来た。







「俺ですか?高校の教師ですけど」




「え~、そうなんですか?」




どこまで、知らないフリを続ける気なんだろう。