「舞子ー、準備できたのー?」


お母さんの大きな声が、空っぽになった家に響く。そんなに大きな声出さなくたって、聞こえてるって。


「出来てるよー」


昨日の夜、あれから長い時間あの場所にいたあたしたちは、クリスマスのイルミネーションが消えたのを見て、家に帰った。


何時だったのかは分からないけど、相当遅い時間だったんだろう。お母さんに、少しだけ怒られた。


達哉はあたしより、自分の方が家が遠いのに、家まで送ってくれたのだ。

断ったけど、さすがに時間が時間だったから。


―ピンポーン…


お母さんもお父さんも、自分の準備で手一杯みたいで、チャイムが鳴ったのに出ようとしない。


「はいはーい」


仕方なくあたしが出たけど、来た人物を見て、あたしが出て良かったと思った。


「おはよ、舞子」


「達哉っ」


あ、そうだ。昨日、見送りに来るって言ってたんだった。


「まだ、行かないんだ」


「うん、準備が終わるまでは…」

お母さんもお父さんも、達哉が来たことには気付いていなかったみたいだから、外へ出た。


「舞子は準備終わったのかよ?」


「うん、昨日帰ってからほとんど終わらせてたから」


昨日帰ったあと、スゴく不安になった。

一生、クリスマスが続けばいいのに、って思ってた。夜、ずっとそればっかり考えてた。