遊園地に行ったあの日から、いっぱいいっぱい考えた。

達哉とも、両親とも離れない方法はないのか。


「ないんだよねー……」


そう簡単に、上手くいく方法なんて見つかるはずがない。

クリスマスまで、あと3日しかないのだ。

要するに、引っ越すまであと4日。


あたしの家からは段々と荷物が減っている。

唯一あたしの部屋だけが、中途半端に残ったままの状態。


「ないって、何が?」


「……なーんだ、向井君か」


「何だとは、失礼な。広田が落ち込んでたから話し掛けてやったんだぞ」


きっと向井君はさりげなく気遣ってくれてる。いつも達哉のことで悩んだときは、向井君が励ましてくれた。

男女の友情は成り立たない、なんて言うけど、あたしはそんなことないと思う。


「達哉に聞いた?」


「…あぁ、聞いたよ。引っ越すのか、こっちに残るか……迷うよなー。」


引っ越したら、こうやって向井君に相談に乗ってもらうこともなくなるんだ。