結局寝付けなかった。鏡に写るあたしの顔は、とてつもなくブサイク。


「はー…、眠い…」


おまけに、寝不足だ。


あぁ、今日はせっかく達哉と遊園地デートなのに。このままじゃ、楽しめない。


「舞子ー、急ぎなさい、遅刻するわよー」


お母さんの声が寝ぼけた頭に響く。もう行かなきゃならない時間なんだ。


きっと達哉はもう迎えに来てる。何て言おうか?そもそも、朝からそんな暗い話をしていいのか……


「行ってきまーす…」


そうお母さんに言うと、お母さんは少し悲しそうな顔をした。あたしのこの暗い雰囲気を感じ取っているんだろう。


「行ってらっしゃい」


ドアを開けて外に出ると、塀に寄りかかって待っている達哉がいた。あたしがあげた、チェックのマフラーをつけていた。


「おー、舞子おはよ」


ニコニコ笑っている達哉を見ると、やっぱり転勤のことは言えそうにない。