職員室で配られたプリントに目を通していた俺は、ある箇所で目を留めた。

教育実習。
それ自体なら、毎年のことだ。
進学後に教職過程に進んだ卒業生が数人、一ヶ月ほど実習しにくる。

実習生の名前が連なった中の一つに、俺の目は奪われていた。

教師になりたての年に初めて副担任についたときの生徒で、彼女は当時三年生だった。

もう四年も経つのか。

連絡先はわからないし、もう会うことはきっとないと思っていた。

「驚いたな、あいつ来るんだ」

隣に座る林原が俺にだけ聞こえるようにつぶやく。

「みたいだな」

「知ってたのか?」

「まさか」

俺は首を振る。
四年の間、俺からは一切連絡をとっていない。