「お・・・か?」

俺が連れて来られたのは夜景がきれいな丘だった。」

「う・・ん。夜景きれいでしょ?まぁそこ寝っ転がってみ」

寝っ転がってみると、優しい風が俺と真理亜の体を優しく包み込み、草のいい香りが鼻先を漂って、思ってた以上に気持ちよかった。

「でも・・なんで丘?」
一瞬真理亜の表情が曇った気がした

「ここはね、大切な人との思い出の場所なんだ・・。」

真理亜はいつもの口調ではなくゆっくり穏やかに話していた。

「彼氏・・とか?」

「ううん、本当のパパ・・。」

「本当のパパ・・?」

聞いてはいけなかった気がした・・。
だが真理亜の口はゆっくりと動き始めた。

「うち、親居ないの・・。3歳の時親が離婚してね、うちはママの所に引き取られたんだけど・・、ママ、すぐに新しい男作ってね、その男に「お前がママを苦しめてるのか」
って虐待され、ママに助けてって言っても、うちの顔が前のパパに似ていたらしく
「お前の顔が悪い、お仕置きされて当然よ」ってひっぱたかれてね・・。
毎日泣き叫んでたから、近所の人が言ってくれて、施設に預けられたんだけどね・・。
うち一回パパに会ったの・・。この丘で肩車してもらってね・・。
こんなこと言われても困るよね・・。ごめん・・。」

真理亜の声は震えていた。

俺は、後ろを向くのが怖かった。