俺とナツの関係は、ナツ次第なんだ。


 俺は、ナツのいうことすることにムカついたり、イライラすることなんてないから、俺から喧嘩になるようなことは言わないし、当たり前だけど別れようなんて思わない。

 もし、喧嘩になったり、別れ話が出るようなことがあれば、それは全部ナツからというわけで、もし本当にナツからそんなことを言われてしまったら、俺達は終わりなんだ。




 ふと目が覚めた。


 俺は携帯を握りしめたまま、いつの間にか眠っていたようだ。


 携帯は充電器に差しっぱなしで、開いたままだった。充電は、とっくに終わってる。



 あれから、俺は何度も何度もナツに電話して、メールした。


 でも、ナツは電話に出てくれなかったし、メールも何の返信もない。

 念のため今見てみても、寝ている間に電話もメールもなかったようだ。


 当たり前か。もしナツからだったら、寝ててもすぐ分かるから。



 時間を見てみると、九時を過ぎた頃だった。


 今日は十時からまたカフェの方でバイトを入ってる。


 全然そんな気分じゃないけど、休めない。一応、バイトに生活がかかってるんだ。


 俺はしょうがなく、昨日から着っぱなしだった服を脱いで、違う服に着替えた。


「いって……!」


 部屋の中を歩いたら、何かに躓いた。そして、その拍子にローテーブルにスネをぶつけた。


「いってぇー……」


 俺はしゃがみこんでぶつけたスネをさすった。


 改めて部屋を見てみて、汚いと思った。何に躓いたのかも、分からないくらいだ。


 いつもは大して気にしないけど、今朝はひどいと思った。



『旬の部屋の掃除も……料理も洗濯も、あたしがやってくれて当たり前って思ってんの!? あたしは旬の母親じゃないのよ!』


 ナツの言ったことを思い出して、俺はため息をついて、部屋を出た。