「はぁ……」


 ナツが出て行って玄関のドアが閉まったあと、俺はため息をついた。


 ナツは怒ってないって言ったけど……あれって怒ってるかもだよな?つうか、呆れられたかも……


 いや、いつもナツは俺に対して呆れた風な態度見せるけど……でもいつものはもっと『しょうがないなぁ』って雰囲気だし……今回のは流石にそれではすまないことしちゃったし……


「はぁ……」

 下を向いてまたため息をつくと、俺の裸の下半身も同じようにしょぼくれていた。


 シャワー浴びて服着よう……


 今の恰好が情けなくなって、俺は立ち上がって風呂場に行った。




 シャワーを浴びたあと、ナツが作ってくれてた朝ごはんを食べようと台所に行った。


 ナツは、サンドイッチをラップに包んで置いていてくれた。


 ああ、だから『ラップはちゃんと捨てるのよ』か。

 今更になってナツが言っていたことの意味が分かった。


 ラップを開けて、サンドイッチを一つ取って食べた。

 中身は俺が好きなハムとチーズだった。


 ナツは、いつも俺が好きなものを用意していってくれる。しかも、それは全部おいしい。

 どんなものでも、ナツが作ってくれたものなら、他のものと比べものにならないくらいおいしくなる。


 それはもちろん、今日のサンドイッチも同じだった。


 おいしかったけど、俺の口から出るのは、ため息だけだった。


「はぁ……」



 ナツ、どうしたら許してくれるんだろう……