「とうさまぁ、かあさまぁ」

幼い女子が両親に駆け寄り、3人は微笑みあっている。
とてもとても幸せそうな様子。

しかし、景色は一変。

至る所に鮮やかな赤、赤、赤・・・

ザンッ!

「うわあああ!!」
「あなた!」
(とうさま!)

男性は着物が赤に染まりながら、それに比例するかのように前のめりに倒れこんだ。
そして、女性がその男性に駆け寄る。
その女性もまた…

ザンッ!

「きゃあああ!!」
(かあさま!!)

男性同様、周りを真っ赤に染めて倒れていった。

物陰からのぞく女子の着物にもあの赤がついていた。
男性と女性はピクリとも動かない。
しかし、あの赤色は絶えることなく
2人の着物を染めていった。

女子は隠れてた物置の間からその場を見ていた。



どうして・・・




「ふん。おとなしく言うことを聞いていれば、事穏便に済んだものを」



男性と女性を斬った男は投げ捨てるように言った。




どおして・・・??




男は刀を鞘にしまい、振り返ることなく
部屋を出て行った。




部屋に残るは静寂のみ。




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