ケータイ小説 野いちご

君に恋する本の虫

〜本の虫はキミを知る〜
キミ


家に戻ると父親がすごい剣幕で座っていだが、「参考書買ってきただけだから」というと肩透かしをくらったような顔をしていた。



私は先月母親が買ってきて、まだ封も解いていない参考書を隠しておいた靴箱の後ろから出した。



そしてリビングにいた父親に見せ、さっさと部屋に戻る。



もちろん机で参考書を開く事はなく、買ったばかりの禁断の果実を持ったままベッドに横になるのだが。



どれくらい時間がたったのか。


気がつくと時計の針は20時をさしていた。帰ってきたのが17時頃だったから3時間くらい本を読みふけっていたらしい・・・



その時玄関を開ける音がしたと思うと、聞きなれた母親の声。



「ただいま〜。千尋いるの〜?」


私は本に素早くしおりを指し入れ、枕の下に押し込んだ。


「おかえり。部屋にいるよ。」


そう言って部屋から顔を出すと、玄関にいた母親の後ろから長身の男がぬっと顔を出した。


「ただいま。ちゃんと勉強してたか?」

ちょっと小馬鹿にしたように現れたのは3歳年上の兄で、大学受験を控える《柊 真人(ヒイラギ マコト)》。

「おかえり・・・してたょ。」

「フッ・・嘘つくなよな。」


ニヤケる真人をキッっと睨みつけると、「怖い、怖い」と肩をすぼめながらリビングに入っていった。

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