ケータイ小説 野いちご

眠れないほど好き【短編】

眠らせない方法

「必要なのは市羽さん、て云ったら?」

「え?」

「これでもかなりアプローチしてきたつもりだけど、通じなかったみたいだ」

「え?」

「例えば、事あるごとに市羽さんを指名したり」

「は?」

「つまり、おれは市羽さんに惚れてる」

「……」

「固くないって云ってたし、きっかけは逃さない主義。入ってくれるかな。何が起きるか保証はしないけど」



唐沢は部屋を指差した。

唐沢は意思表示をするためにここまでわたしを連れてきたらしい。

その意味がわからないほど鈍感じゃない。



「……わたし……人をそこまで好きになったことなくて……その……たぶん“保証されないこと”は、はじめて……なんですけど」

「市羽さんが固くてよかった」

「だから固くありません。置いていかれるのが嫌で、けっこう流されるんです」

「なるほど。じゃ、誘えばのってくれるわけだ」



唐沢は招くようにドアを開いた。

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