ケータイ小説 野いちご

眠れないほど好き【短編】

大事な用事

もやもやしたまま一次会はお開きになった。

精算を任されていたわたしが店員と話しているうちに全員が会場を出ていった。

お手洗いに行って化粧直しをして店を出たときは、薄情にもだれも見当たらない。



もしかして……置いていかれた?

……こんなところでも売れ残りならぬ置いてけぼりってちょっとショック。

あり得ないし。



「市羽さん」


不意打ちで後ろから声がかけられ、わたしはびくっと肩を揺らして振り向いた。


「か……唐沢代行。心臓、止まりそうになりました。みんなはもう二次会に出たみたいですよ」


唐沢はゆっくりと寄りかかっていた店の壁から躰を起こした。


「おれはパスって云ってるから」

「あ、そうでしたね。大事な用事あるって……」


唐沢の人差し指が向かってきて、わたしは言葉を切った。

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