そんな私が偶然にも、江崎先輩と一対一で語り合う機会を持つ事が出来た。

 相手の方から接して来たって言ったらイイかもしれない。


 私が会社のトイレで髪型や身だしなみを軽く整えていた時だ。

 洗面台の大きな鏡に映る自分の背後に、江崎麻里子の姿が現れた。

 ハッと振り返る私。

「江崎先輩!?」

「ゴメンね、いきなり」

 私の目を見つめる江崎先輩。

 優しい笑みを浮かべるけど、どことなく冷たい雰囲気。

 顔さえも見たくない嫌な女が同じ場所にいて、私は暗い気分になってしまう。

「何か、用ですか?」

 隣の鏡の前に立った江崎先輩。

 自身の顔を鏡で見ながら、メイクや髪のセットの状態をチェックし始めた。

「アナタに頼み事があってね」

「頼み事って?」

「藤瀬の事なんだけど」