この夜…、

 寝る前のひと時を俺はゆっくりと過ごしていた。

 いつもならテレビを観たり音楽聴いたりしたりする俺だけれど、今夜はとてもそんな気分にはなれない。

 江崎先輩からの誘惑的な言葉に気持ちが揺らいでいるからだ。

「あのコはね、藤瀬から告白されるのを首長-くして待っているから」

 昼間の語らいの時、江崎先輩はこう言い残して先に帰ってしまった。

 俺はそのまま、心が揺れ動く思いのままベンチに座ったままだった。

 そして今でも、気持ちの整理が付かないでいるのである。

 美咲との交際のままでいるか?

 それとも、思い切って小出さんの方に変えるか? 

 苦渋の選択を迫られる羽目になってしまうとは、我ながらとんだ恋状況である。

 男の俺から見れば、確かに小出めぐみも魅力的な女の子である。