「篠宮ー!」


あれから6日が経った。お昼休み、大学の中庭にある小さなベンチに座って本を読んでいた私の耳に届く声に動作を止める。

ここにいるはずのない人の声がした気がする……?



と。

「篠宮ってばー。」

今度こそ、間違えるはずがない。私は声がした方に向かって振り返る。


そこにいたのは、明るい茶髪を無造作にセットして。青色のチェックシャツに身を包んでいる―――――――…



「清水くん?」

「何してんのこんな所で。」


いや、貴方の方こそ何してるの。へらりと笑った彼は私の横に腰掛けると持っていた缶のプルタブを開けた。

プシュッという心地良い音が隣で聞こえ、チラリと視線を送れば彼も同時に私へと視線を落とす。


ああ、と何かに気付いたような仕草を見せた清水くん。