部活の時間――…


私は苛立ちをぶつけるようにパン生地をこねる。


「はるか?どうしたの?」


そんな私を、茜が心配そうに見ている。


「何でもないよ。大丈夫」


そう自分に言い聞かせ、気持ちを落ち着かせながら、またこね始める。


イライラした気持ちで料理をしたら、料理がまずくなる。


ちゃんと愛情たっぷり作ったら、どんな料理でもおいしくなる。


これが料理を作る時の私のモットーだ。


っていうか……


今日は珍しく茜も自分で作っている。


いつもは私の手伝いだけなのに。


「ねぇ……、茜こそどうしたの?今日は自分で作ってるじゃん」


「3年ってもうすぐ引退でしょ?それまでに少しでも話せるようになりたいなって思って……」


茜は顔を真っ赤にしている。