私は宇佐美夏帆、5才。

 当時、奥尻島に住んでいた私達家族三人を
大きな災難が襲いました。

 それが、北海道南西沖地震です、
家中がギシギシ音を立てながら揺れて、
 壁が崩れ落ち、タンスが倒れ、
あらゆる物が上から落ちてきたの。

 転がり落ちたデジタル式の
目覚まし時計は、22時17分を
 表示したままで止まっていたわ。

 地震の直後、父から
「津波が来る前に貴重品を持って逃げるから、
 お前たちは先に行け」
との指示があり、母と私は
 津波警報のサイレンが鳴り響く
暗い夜道を 足元ばかりを見て高台へと
 急いでいました。