サザナミに響く青葉の笛は月夜を悲しく煌めかせ、降る様な星空は戦(いくさ)とは異なる淡き思いを響かせ静かに地上を見守り続ける。


戦場(いくさば)でなお雅を尊ぶ薄化粧の若き武将は初陣の篝火に照らされて、その影をゆらゆらと揺らめかせ明日の心に一抹の不安と抑えきれない猛りを纏いつつ無の境地を求め空しく地上に彷徨う。


幼すぎると言っても過言では無い若い心は古の心を鎧で隙無く包み隠し、明日の今頃、自分に命が有る事が保障されていない危うく儚い運命を少しだけ恨んで居た。


この戦が、我身を滅ぼす事になったとしても少年は後悔する事は無いそれが自分に与えられた運命なのだから……。