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ゆっくりとした足取りで裏路地を進んでいた光だったが、不思議と侍の一団との差は着実に縮まっていた。


壬生浪士組の監察方には『監察たるもの、京の入り組んだ道を知っていて当たり前』という考えが存在している。


そのため、土地勘があまり無かった光も懸命に覚えたのだった。


それは裏路地も例外ではない。


とにもかくにも、こうして光が先回りを出来ているのは、侍の行き先が分かっているからだ。


「………………!」
「……!」


風に乗せられたその者たちの声は、光の耳元までやってくると、確かにこう囁いたはずだ。


壬生狼(みぶろ)に気取られるな!
急げ!


推測が確信へと変化した瞬間だった。


天皇のお膝元である京の街には、尊皇攘夷に賛成する過激派や、壬生浪士組を蔑称で呼ぶ人間が多く存在する。


侍でそう呼ぶのは――倒幕を目論む者。
奴らは長州藩邸に向かって走っていた。


それをいち早く見抜いた光は、奴らが長州藩邸と近い場所に至る前に接触を掛けようか、と考えていたのだ。