「…もう二ヶ月かあ…」


バルコニーに出て一人ぼそりと呟く海音。
外は寒さが増し今にも雪が降りそうな天気だった。


もうこの世界に来てから二ヶ月…
月の跡も消えないけど…夜月族も未だに分からないまま…あの夢も見ないしなぁ…
私はどうしてここに来たんだろう。


ぼうっと物思いに耽っているといきなり抱き締められ小さく悲鳴を上げる海音。


「ハルウ…びっくりした…」

「ごめんよ…それより何かあった?」


ハルウの表情に心配の色が見えるが海音が首を振るとそれはすぐに消える。


「ここに来た事を思い出してただけ、夜月族の事とか…そんな大したことじゃないわ」

「そうか…」


そう呟き微笑むハルウに海音も安心したように微笑むが次の瞬間には眉を寄せる。


「…疲れているの?」

ハルウの顔は僅かだが疲れているのか顔色がいつもと違う。


そう言えば最近会合が多いわ…
そのせいかしら…具合が悪いのわ

「大したことじゃないよ、寝れば治る」

その返事に海音の表情は戻るものの内心では心配の色は消えない。