「やっぱり無理だよ…ッッ」

「大丈夫ですわ海音様!!」


渋る海音に元気よく話すクレハ。
今夜はこの世界に来て初めての海音が出席するパーティー。


白地に黒の薔薇の花飾りをつけたドレスを着る海音にクレハは歓喜の溜息を吐く。


「海音様?」


軽くノックをし入ってきたエリックは一瞬目を見開かせると僅だが微笑む。


「エスコートさせて頂きます」

「ハルウは…?」

「貴族の方達に挨拶回りを…」


そう…と言い仕方なく溜息をつけば慣れない足取りでエリックの手を取る。


「お願いしますエリックさん」

「こちらこそ」


軽く微笑む海音につられエリックも微笑む。


前までは笑ってくれなかったけど…
やっと認めてくれたのかな…?


内心でそんな事を思い再度海音の口元が緩む。


「じゃあクレハまた後で!!」

「はい。楽しんできて下さい!!」


終始笑顔のクレハに手を振ると二人は部屋を後にした。