『父さーん、母さーん』 まだ6・7歳くらいの少女が、田んぼ道を走っていく。 手に色とりどりのキレイな花を抱えて、その花を一番に見せたい人の名前を大きな声で呼ぶ。 少しして立ち止まり、キョロキョロとまわりを見渡す。 田んぼに両親の姿はない。 ───おかしいな。 いつもは仕事している時間なのに……。 確かにまだ陽はおちていない。